認知症の方と一緒になって開発した
コンロ「SAFULL+(セイフルプラス)」
2024年2月、高齢者や認知症の方でも使いやすいコンロ「SAFULL+(セイフルプラス)」を発売しました(以下、セイフルプラス)。認知症の方に向けたコンロを開発することは業界としても珍しく、リンナイとしても初めてのチャレンジであり、認知症の当事者の方々と一緒になって企画・開発した商品です。
この商品は、福岡市、九州のガス会社 西部ガス様、認知症等に関するコンサルティング会社 メディヴァ様とリンナイの共同開発によって開発が行われました。
2年の月日の中で複数回に渡って、認知症の方々と一緒になって、コンロの操作感や、機器を触った感じ方など、モニタリングし、話し合いながら、戻っては試作機を作って、再度見てもらうといった繰り返しで、少しずつ形にして作り上げていきました。モニタリングの中で得た知見を生かし、重要な点火・消火が分かりやすいようにボタンをカラーリング、天板を白にして黒の全面ゴトクを採用し、音声も聞き取りやすい、ゆったりとした口調の口語表現にしました。
実際に認知症の方が生活するデイサービス施設にセイフルプラスのモニター機を設置し、1か月ぐらいの使用後、感想をうかがっています。企画のねらい通り、ボタン操作を忘れたり、間違えたりすることも少なくなり、白い天板や黒い全面ゴトクなど、モニタリングで得た事象は生かされている感覚があり、何よりも認知症当事者の方々が『生き生きと』『楽しそうに』料理をしているのが全面に伝わって、手ごたえを感じることができました。
メディアやユーザーからも視線を強く集めており、販売面でのこれからの動きに期待を感じます。自治体の社会活動に併せた商品開発や、実際の認知症の方と一緒に商品を作るなど、新しい試みが今回行われました。これからも、こういった機会を生かしていきたいですし、世の中としてもシニア向けや認知症向けといった商品が生まれてくることを願っています。
VOICE
- 企業が高齢者や認知症の方々に興味を持って商品を作ってくれることを大変うれしく思っています。このたびはリンナイさんが認知症の方々と一緒になってコンロを開発していただきました。実際に商品を施設に設置し、使わせていただきましたが、施設の皆さん、とても楽しく料理をしています。
認知症の人の行動をあまり絞り込みすぎないことは、より多くの高齢者や認知機能が落ちてきた人に使ってもらうためのポイントだと思います。このセイフルプラスは、ボタンの色やゴトク、天板など変えていただいたのですが、やはりシンプルであることがいいと思いました。
調理など日常で行ってきたことが、できるだけ長くできるということは、生きがいを失わないで暮らし続けられるということにつながります。これからも長く使っていきたいですし、企業の皆さんにも認知症に対して少しでも寄り添っていただければと思います。