リンナイはカーボンニュートラル実現における可能性の一つとして水素社会について想定をしています。「RIM 2050」では、水素燃焼の技術開発について推進していくことを掲げており、これまで水素給湯器や水素調理器の開発に着手しています。2022年に水素調理に関する共同開発を公表しましたトヨタ自動車様に現在の状況と今後の展望についてお話をうかがいました。
VOICE

水素ファクトリー 水素製品開発部
中村 匡様
- ~水素調理に関して共同開発しているトヨタ自動車様に聞く~
- 水素は以前から工業用や産業用の活用はされているのですが、なかなか「水素社会」の時代が近づいてこないイメージです。これは、水素が生活の中で身近でないということが原因ではないかと考えています。そのためには、より多くの人が水素を利用できる「環境を整える」というのが進むべき道だと考えています。
リンナイさんとは水素を使う中でも、特に水素の新たな価値創造ということで、水素燃焼技術を応用した調理器具開発に踏み込みました。2022年にリンナイさんとトヨタで共同開発することを公表し、それ以降、一緒になって研究開発や普及活動を行っております。
水素利用の環境を整え、普及させていくためには、その「事業性」が求められます。電気などの他のエネルギーからすると水素の価格差がなかなか埋められずにいるのですが、その差を縮める可能性として「水素の価値創造」があると思っています。水素の特性から、たとえば肉を焼いたら油が落ちてすっきりする、パサつきにくいといった定性的な意見を取り上げ、さらにそれを数値化して定量的な分析を行っており、感覚的にも、科学的にも「水素で調理するとおいしい」ということを立証しようとしています。

今後は、こういった水素の価格を、付加価値も含めた形で許容範囲内にしていくことに加え、トヨタが開発している水素カートリッジを使って、生活圏内における水素のサプライチェーンを築こうと考えています。水素カートリッジを開発しても使われなければ何の意味もありませんので、家庭用として水素消費量を上げることや水素活用による付加価値向上のために、調理分野での機器開発においてリンナイさんの力が必要だと思っています。

水素社会をつくるには、一つの会社だけではどうにもならないわけで、「トヨタは水素のサプライチェーンをつくる」「リンナイは調理器をつくる」といった、みんなそれぞれの役割を担って、『仲間づくり』をしながら、みんなで一緒に水素社会の実現をめざしていければと思っています。