リンナイの人的資本戦略
中期経営計画「New ERA 2025」では、「社会課題解決への貢献」「事業規模の拡大」「企業体質の変革」を軸とした戦略ストーリーを策定し、持続的で堅実な長期成長をめざしています。次世代への成長の第一歩として掲げたこれら戦略ストーリーを実現するためには、その原動力となる従業員の力を結集し、チャレンジし続けることが必要不可欠となります。当社では、経営戦略に紐づく人的資本への投資を積極的に行うとともに、戦略ストーリーの推進を通じた企業成長を実現することはもちろん、そのプロセスの推進により従業員の成長そしてエンゲージメントの向上を実現していきます。
人的資本戦略の概略図(指標および目標)

重点施策(人材育成方針、社内環境整備方針)
『グローバル』人材の育成
海外売上比率が50%を超えた当社にとって、海外市場での成長は事業規模拡大を加速させる大きなドライバーとなります。海外展開を強力に推進していくため、グローバル人材の質と量を確保していくことは、人材戦略上の重要な位置づけであります。
当社では国別・部門別に必要なポジションを明確化、海外人材育成のためのプログラム展開、海外人材プールの設定を行っています。社員への教育に関するサポートを充実させ、グローバル市場における競争力を高め、これまで以上に、海外事業の推進に注力し、持続可能な成長と競争力の確保をめざしてまいります。
【主な取り組み、実績】
海外出向経験者数 2022年度:109名 ⇒ 2023年度:120名 ⇒ 2024年度:124名
『DX』人材の育成
購買行動や流通構造が変化する社会において、これまでのビジネスや業務のプロセスの有り方を根本から見直し、企業体質の変革を実現することが必要不可欠です。2024年にはリンナイグループの優れたDXの取り組みに光を当て切磋琢磨する社内風土を醸成し、より効果的なDX活動を促すことを目的に社内表彰制度を導入いたしました。
人材面においては、当社のDXを先導するコア人材を「DXビジネス人材」、「DX技術人材」と定義し、専門的な育成プログラムを開始しております。その他社員にもITリテラシーの教育に力を注いでおり、パソコンを使う業務に従事する全社員が身に付けるべきITスキルを定義し、基礎教育を開始しております。今後も、新たなビジネスの創出と経営の合理化を実現するため、全社を挙げてスキルアップに取り組んでまいります。
【主な取り組み、実績】
2024年度内のコア人材の認定 DXビジネス人材:4名(達成率40%)、DX技術人材:41名(達成率82%)
『ブランド』の浸透
当社では、国内外ともに一貫したブランド戦略を推進・展開しております。2024年度はSNSにリンナイ㈱公式のブランドアカウントを開設しました。リンナイが理想とする「健全で心地よい暮らし方」の世界観を積極的に発信し、多くのステークホルダーにリンナイブランドへの理解を深めていただく場となるよう期待しています。また新ブランド制定当初より、従業員一人ひとりがブランドプロミス「Creating a healthier way of living」を理解し、日々の業務の中で体現していくことが、リンナイブランドを確立していく上で必要不可欠な要素と考え、当社社員を中心に浸透教育を継続して実施しております。今後も、皆様から選ばれるリンナイブランドを確立してまいります。
【主な取り組み、実績】
従業員のブランドに対する理解度(肯定的回答)2022年度:60% ⇒ 2023年度:56% ⇒ 2024年度:61%
戦略を支える『人材投資』(教育機会の増大、多様性の推進、社員の働き方/職場環境)
グローバル、DX、ブランドの取り組みに加え、経営戦略を実行する上で必要不可欠な従業員のパフォーマンス向上を狙う中長期的な人材投資も進めております。企業の成長においては、従業員が会社の方針や戦略に共感し、誇りを持ち自発的に仕事に取り組むことが必要不可欠であると考えています。当社では、2021年度より全社員を対象とした「従業員エンゲージメント調査」 を実施し、現状の各組織課題の明確化および活性化施策を推進しています。直近の2025年1月に実施した第3回エンゲージメント調査では、製造現場を中心にコミュニケーションが活性化したことで、全体のエンゲージメント結果が7ポイント向上しました(前回47pt → 今回54pt )。一方、それ以外の職場ではまだまだ大きな改善には至っておらず、依然として会社や自分自身のキャリアに対する不安・現状維持マインドを打破しきれていない状況と考えています。会社の成長および従業員のエンゲージメント向上を実現するため、「教育機会の増大」、「多様性の推進」、「社員の働き方/職場環境」といった戦略を支える人材投資に、引き続き取り組んでいきたいと考えています。
教育機会の増大
-
人的資本戦略の中でも社員に対する教育投資は特に重要と認識しており、従業員の能力向上と成長を促進するために積極的な教育機会の提供を行っています。当社の教育訓練費は、過去数年間で着実に増加しており、その推移は下図の通りです。また従業員の将来のキャリアを踏まえた学びを後押しするために自己啓発プログラムの拡充を行っております。申込者の約69%が旧来の通信教育型のプログラムから、新たに拡充したサブスク型のeラーニング、英会話などに移行し、社員が主体的な学びを実践しています。
さらに経営を担うリーダーの発掘・育成を目的とした「中核人材育成プロジェクト」を2021年より開始しており現在は3期目を迎えました。同様に早期のマネジメント力向上施策としてプレマネジメント教育を実施し、多方面から人材育成を図っております。今後も、教育・人材育成への投資を継続し、従業員の能力開発と組織の発展に努めてまいります。【主な取り組み、実績】
中核人材プール 63名( 前年比+15名)
プレマネジメント教育参加者 108名( 前年比+53名) -
多様性の推進
リンナイは多様な価値観・経験を持つ人材の活用による新たなアイデア創出のため、さまざまな取り組みを始めています。特に女性社員については、その能力活用についてまだまだ対策の余地があると認識しております。2024年度は一層の風土醸成を図るべく、経営トップからのメッセージの視聴、「アンコンシャスバイアス」に関する知識を深める教育を全社員に実施いたしました。また環境面でも男性育休取得の促進や時間有休の活用、家族手当の拡充等を実施しております。現状はまだ道半ばではありますが、当社の女性活躍推進における課題に対処するために、今後も積極的に取り組みを継続し、全従業員の参画と意識改革を促進し組織全体のイノベーション力と競争力を向上してまいります。
【主な取り組み、実績】
総合職新入社員女性数/比率 2022年度:9名 / 13% ⇒ 2023年度:11名/ 11% ⇒ 2024年度:25名/ 27%
女性職系転換数/比率 2022年度:4名 / 13% ⇒ 2023年度:10名/ 34% ⇒ 2024年度:10名/ 43%
女性管理職数/比率 2022年度:4名 / 0.6% ⇒ 2023年度:7名/ 1.0% ⇒ 2024年度:9名/ 1.2%
男性育児休業取得者数/取得率 2022年度:18名 / 22% ⇒ 2023年度:33名/ 36% ⇒ 2024年度:50名/ 64%
社員の働き方/職場環境
当社では健康サポートや人事制度改定などの取り組みを通じて、社員のエンゲージメントと生産性を向上させることをめざしています。全社員が利用できる福利厚生サービスでは健康をサポートするプログラムを積極的に展開しております。その他定期的な健康診断やストレスチェック、リニューアルした社員食堂での健康食を提供し、社員の健康維持やストレス管理を支援しています。人事制度面においては社員の働き方や時代変化に適した制度の見直しの必要があると考え、時間有給制度の導入、家族手当の見直し、再雇用者の働き方の見直しを実施しております。従業員がワークライフバランスの向上を実感し、より充実した職場環境で働くことが実現できるよう今後も社員の声に耳を傾けながら、努力を継続してまいります。
【主な取り組み、実績】
福利厚生サービス利用者 2,986名(前年比+888名)