ニュースリリース
入浴習慣が筋力トレーニング効果の増大に貢献する可能性を明らかに
リンナイ株式会社(本社:愛知県名古屋市、社長:内藤 弘康)は、中京大学 教授 渡邊航平氏の研究グループとの共同研究によって、人間が日常的に浴槽浴を繰り返すことで筋力トレーニングによる筋力向上効果が増大する可能性を明らかにしました。本結果は、2025年10月に「European Journal of Applied Physiology」に論文掲載されました。
研究の背景と目的
運動は、生活習慣病や加齢にともなう身体機能の衰えを予防するため、広く推奨されています。厚生労働省が策定した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、はじめて高齢者も含めたすべての年代に筋力トレーニングの推奨が明記され、注目されています。一方で、高強度の筋力トレーニング後には強い疲労が生じるため、継続的に筋力トレーニングを実施することを困難にする可能性があります。これは、本来の目的である筋力向上を妨げたり、怪我のリスクを高めたりする事にも繋がるうえ、トレーニングに対する意欲にも影響するかもしれません。浴槽浴が疲労回復を助けることは一過性の効果として知られていますが、日常生活の中で継続的に行う浴槽浴習慣が、高強度筋力トレーニングにともなう疲労回復や筋力向上にどのような影響を及ぼすかは十分に検証されていません。本研究では、高強度の筋力トレーニング後に自宅で行う浴槽浴が疲労回復や筋力向上にどのような効果をもたらすか、また浴槽浴に浴槽の壁を足で押す軽い運動(アクティブレスト)を組み合わせることでその効果がさらに高まるかを明らかにすることを目的としました。
実験方法
図1で示したとおり、健康な男性43名をシャワー群(10名)、浴槽浴群(10名)、浴槽浴+軽運動群(11名)、シャワー+軽運動群(12名)に群分けし、2週間で合計6回、最大発揮筋力の70~75%という高強度の等尺性膝関節伸展運動をトレーニングとして8~10回×3セット行いました。浴槽浴は40℃に設定した湯に10分程度浸かることをお願いしました。対象者はトレーニング介入前と介入後の2回、筋力:等尺性膝関節伸展筋力(筋力そのもの)、筋肉の疲労:電気刺激による誘発筋力(筋肉がうまく収縮できているか)、中枢神経の疲労:電気刺激による反応速度(脳から筋肉へうまく指令を伝えられているか)を測定しました。
結果と考察
浴槽浴群では、筋力の増加量がシャワー群より大きく、高強度トレーニング後の浴槽浴が筋力向上を効果的に支えることが分かりました(表1)。これは、以前に共同研究として実施した「中強度トレーニングにおける浴槽浴の効果」(Takeda, Watanabe et al. Physiological Reports, 2025)とも一致する結果です。また、シャワー+軽運動群では、浴槽群や浴槽浴+軽運動群ではみられなかった中枢神経の疲労が確認されました(表1)。さらに、図2は、4つの群の各被験者の筋力の変化量と筋肉の疲労状態を点で表したグラフになります。このグラフから、シャワー群では、筋肉の疲労が大きい人ほど筋力の増加量が小さいという強い関連が認められました。一方で、浴槽浴群や浴槽浴+軽運動群では、筋肉の疲労が小さく抑えられており、筋肉の疲労度に左右されずに筋力が向上していました。これらの結果から、高強度トレーニング後に浴槽浴を行うことで、筋肉や中枢神経の疲労発生を防ぎ、筋力向上に適した状態を維持できる可能性が示されました。
本結果に関するコメント
共同研究者 中京大学 渡邊航平 教授 コメント
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、老若男女問わず週2~3回の筋力トレーニングが推奨されています。今後、これまで筋力トレーニングを行ってこなかった人たちが新たにトレーニングに取り組む中で、安全かつ効果的に成果を高める方法を示すことは非常に重要です。今回の研究では、高強度の筋力トレーニングという強い疲労を伴う条件でも、日常的な浴槽浴が筋力向上を後押しする可能性が示されました。自宅で簡単に実践できる浴槽浴という、日本人にとって身近な生活習慣が、トレーニング効果を高める"生活の工夫"として活用できることは大きな意義があります。
「応用生理学」に関する有識者 森谷敏夫 京都大学名誉教授 コメント
この研究は入浴習慣が高強度筋力トレーニングの効果を増大させる生理学的機序を明らかにしたもので大いに評価できると思います。昨今、簡単なシャワーだけで済ませる方々が増加している中、この研究により筋トレ後の入浴によって筋肉や中枢神経系の疲労回復が促進されることが実験的に証明された意義は大きいです。入浴中の浮力や温水による全身の血流の促進やリラクセーション効果が関与しているのではないでしょうか。
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