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北九州水素タウンで国内初となる
水素100%燃焼給湯器の実証実験を開始

「ECO ONE(エコワン)」のシリーズ拡充を図った住宅用コンセント対応の「PLUG-IN MODE(L プラグインモデル)」

リンナイは2022年5月に、家庭用給湯器において水素100%燃焼の技術開発に成功したことを公表しました。その後、海外ではオーストラリアでの実証実験の準備を進める一方、国内では2023年4月、岩谷産業様とともに「北九州水素タウン」にて、水素100%燃焼給湯器の実証実験を開始することを発表しました。
北九州水素タウンは、2011年に経済産業省の「水素利用社会システム構築実証事業」の一環として建設され、工場から発生する副生水素をパイプラインで市街地に供給し、水素を一般家庭、商業施設、公共施設のエネルギーとして利用する世界初(2011年当時)の試みです。以降、インフラ構築や環境整備、水素利用の実証実験が行われており、この度の水素給湯器の設置は、100%水素燃焼の家庭用給湯器として国内で初めてのこととなります。
今回、水素100%燃焼給湯器を設置する住宅は、北九州水素タウンの中に建設された賃貸住宅で、全7棟の分譲のうち3棟に水素給湯器が設置されることになります。この賃貸住宅は一般の方が生活しており、当然、十分な安全性を配慮しながら、普段の生活の中でお湯を利用する状態を検証していきます。今回給湯器を設置する住宅は一般家庭に加え、個人経営のカフェもあり、一般的な生活とはまた違う商業的なケースでの利用についても試行されます。

  • 北九州水素タウンの街並み
    北九州水素タウンの街並み
  • 埋設されている水素パイプライン
    埋設されている水素パイプライン
  • 設置された水素100%燃焼給湯器
    設置された水素100%燃焼給湯器

2011年の北九州水素タウンの始まりから事業に携わり、このたびの水素100%燃焼給湯器の設置住宅の施主でもあるNPO法人「里山を考える会」会長の関宣昭様にお話をうかがいました。

VOICE

NPO法人「里山を考える会」会長 関 宣昭様
NPO法人
「里山を考える会」会長
関 宣昭様
水素エネルギーを通じて新しい街づくりを考える
「里山を考える会」は「里山は持続可能な社会のお手本」だという認識のもと活動を始めており、自然と人との共存共栄の考えのもと、2002年にNPO法人化して現在まで活動をしています。都市で生活していると、自然に触れあってもそれは日常化できず、さらにその考え方を発展させ、現在では「都市を里山に切り替える」というテーマで取り組んでいます。
北九州水素タウンはもともと工場の跡地で、現在でも工場がありますが、その工場の副生水素として生み出されるエネルギーを使うことで、持続可能な社会の実現を都市と人との共存の中で達成できるのではないかと考えています。
生活の中で欠かせない「お湯を作る」部分について、リンナイさんの水素燃焼給湯器がこの事業において重要なパーツだと感じていますし、この実証実験がうまくいき、水素エネルギーが自然と生活の中で使われることを想像しています。
カーボンニュートラルという言葉が日常になってきて、また、世の中もそういったことを後押ししている時代だと思います。水素は究極のクリーンエネルギーと言われていますが、そのエネルギーがしっかりと機能し、作る過程から使う過程まで、うまく循環するしくみができれば、「自然」「都市」「人」と、共存共栄できる新しい街ができるものと期待しています。
海外での水素機器の実証実験
  • 水素100%燃焼給湯器において、海外での実証実験をオーストラリアで開始しています。オーストラリアのガスインフラ会社AGIG(Australian Gas Infrastructure Group)と共同で、ビクトリア州にある「水素の家」に水素燃焼給湯器を設置し、機器の検証を進めています。「水素の家」では水素の一般生活における利活用実現に向けて、住宅用の水素燃焼機器を設置して、実際に生活の中で機器の稼働状況をテストします。水素100%燃焼給湯器を2台設置し、キッチンや洗面所、浴室シャワーなど、お湯の出るシーンにおいてさまざまな検証を行い、2030年の実用化に向けて進めていきます。
  • オーストラリアの「水素の家」
    オーストラリアの「水素の家」

リンナイはカーボンニュートラル宣言「RIM 2050」を掲げており、世界各国さまざまに展開される環境・エネルギーの方針に合わせるべく、考えられる方向性とそれに必要とされる技術開発を進めています。その選択肢の一つとなる水素技術開発は、気候変動への対応、およびカーボンニュートラルの実現に向けて、発展させていかなければいけないテーマになります。水素開発を進める中でのリンナイのポジショニングは非常に重要なものであると認識し、これからも取り組んでいきたいと考えます。