日本の技術を異文化の市場へ。
海外事業の最前線で磨かれた対話力
阪口 方基
海外事業部 リンナイ香港(林内香港有限公司)
2016年入社
私は現在、リンナイ香港(林内香港有限公司)の総経理(社長)として、拠点運営と香港・マカオ向けの営業業務に幅広く携わっています。リンナイ香港は大きな会社ではありませんが、私たちが担うビジネスのスケールは決して小さくありません。香港の都市ガス会社との取引は、リンナイの海外事業の中でも存在感の大きいビジネスの一つです。
実務においては、香港・マカオ市場向けの営業活動から、品質トラブルへの対応、物流管理、さらには現地の要望を日本本社の開発部門へ繋ぐ連携まで、幅広い領域に関わっています。私がこのポジションで強く意識しているのは、日本本社と現地のお客様の間に立ち、双方が納得できる形で事業を前進させる「橋渡し」の役割を果たすことです。
例えば、原材料の高騰などに伴う価格改定のような難しい交渉も、私の重要な仕事のひとつです。香港の商習慣や現地の受け止め方を踏まえながら、数ヶ月という長い時間をかけてじっくりと対話を重ねるように努めています。お互いの事情を深く理解し合い、対立を避けて納得感のある着地点を見出していくプロセスには、粘り強いコミュニケーションが欠かせません。
香港では、日本製品に対する信頼が非常に厚く、リンナイの製品も高い評価をいただいています。一方で「日本製だから売れる」というほど単純な世界ではありません。文化や商習慣の違いを尊重し、現地の方々と誠実に関係を築き上げていく人の力があってこそ、初めてビジネスは成立します。自分が介在することで本社とお客様の双方にとって納得感のある形で事業が円滑に回るようになる瞬間に、私は拠点の責任者として大きなやりがいを感じています。
私が海外で働きたいと強く願うようになった原点は、12歳の時に家族で渡ったアメリカ・シアトルでの経験にあります。右も左も分からないまま現地の学校へ飛び込み、辞書を片手に必死で周囲と意思疎通を図った経験を通じて、「将来は海外で働きたい」という思いが強く残りました。その後、大阪にある台湾系の中学校で過ごした経験や、アジア圏の著しい成長を目の当たりにしたことで、中国語をしっかり学ぼうと考えました。
新卒で入社した大手食品メーカーでは輸出入業務に携わり、海外取引業務の基本を学びました。しかし、日々の業務に邁進する中で次第に“こなす”感覚が強くなり、もっと主体的に海外営業がしたいと思うようになりました。自分自身が主体となって、日本の優れた技術を世界に広めたいという想いが募った頃、私の目に留まったのがリンナイの求人でした。
シアトル滞在中に「お湯」の不便さを体感していたことが、リンナイを選んだ決定的な理由となりました。当時のアメリカの住宅の給湯器は、タンクにお湯を貯める貯湯式が主流で、最後にお風呂に入るとお湯が足りなくなることが多々ありました。「日本では当たり前の快適さを海外にも届けられるのではないか」と感じたことが、入社の後押しになりました。
リンナイに入社後、オセアニアやヨーロッパ、東南アジアなど、多様な文化圏の担当を経験しました。国ごとに異なる商習慣や価値観に触れ、それぞれの現場で最適なコミュニケーションを模索した数年間は、現在の香港での仕事に繋がる大切な土台となっています。異業種からの転職ではありましたが、一貫した志向を持ち、着実に経験を積み重ねてきたことが、今の仕事の土台になっています。
今後も、できる限り海外で仕事を続けていきたいと考えています。中でも関心が強いのは東アジアです。中国語を通じて培ってきた自分の強みを、最も発揮しやすいフィールドがこのエリアにあると感じています。
将来的には、自社ブランドを背負って販売する仕事に挑戦したいと考えています。香港では、お客さまのブランドを用いるOEM(相手先ブランドによる供給)のビジネスが中心です。一方で、他地域では「Rinnai」の名を前面に出して価値を届けることが主です。次のステップでは、リンナイというブランドそのものを背負い、東アジアの市場と向き合いたい。その思いは年々強くなっています。
特に意識しているのが台湾です。学生時代にお世話になった方々への感謝もあり、個人的にも深い縁を感じている場所です。だからこそ、いつかは台湾で、自社ブランドを通じてお世話になった方々の暮らしに貢献する形で恩返ししたいと思っています。
リンナイの良さは、そうした挑戦の可能性がきちんと開かれていることです。私自身、異業種から入社し、31歳という年齢で香港の拠点を任せてもらうことになりました。入社前のバックグラウンドだけで可能性が決まる会社ではありません。また、実際に働いていて感じるのは、人が穏やかで、安心して仕事に向き合える環境があることです。海外事業に興味がある方、語学を活かしたい方、自分なりの強みを広い舞台で試したい方にとって、リンナイは挑戦しがいがある環境だと思います。
「海外で働く」というと、特別な人だけのキャリアに見えるかもしれません。しかし実際には、自分の持ち味をどう生かすかを考え続けた先に、道は開けていくものです。リンナイには、その挑戦を受け止めてくれるフィールドがあります。次にその舞台へ踏み出す人と一緒に働ける日を、私はとても楽しみにしています。