「誰の喜びのためにコードを書くのか」
私が求めたモノづくりの手応え
三林 明央
開発本部 制御開発室
2022年入社
私は開発本部の制御開発室に所属し、主に給湯器の「無線モジュールソフトウェア」における基本設計や要件定義を担当しています。リンナイの製品ラインナップには、ビルトインコンロの『DELICIA(デリシア)』やハイブリッド給湯・暖房システムの『ECO ONE(エコワン)』といったフラグシップモデルがありますが、これらの中核をなす機能の一つが、通信を介したスマートフォンやルーターとの連携です。
かつてのガス給湯器は「お湯が出ればそれで満足」という、いわば単機能な道具でした。しかし近年、そのあり方は劇的な変化を遂げています。お湯の使用状況から遠方に住むご家族の無事を確認する「見守りサービス」や、気象警報と連動して災害による断水・停電に備え、事前にお湯を貯めておく機能など、人々の生活をより安心・豊かにするためのプラットフォームへと進化しています。
その進化を支える中核の一つが、私の担当する無線モジュールです。どれほど素晴らしい付加価値を企画しても、インターネットと確実に繋がり、スマートフォンへ情報を届け、指示を正しく受信するという通信の根幹が揺らいでしまえば、製品への信頼は成り立ちません。また、ネットワークに繋がる以上、サイバー攻撃からお客さまを守るセキュリティ設計も極めて重要です。不正アクセスを許さないという覚悟が求められる責任重大なポジションに、私はエンジニアとしての大きなやりがいを感じています。
前職では約5年間、大手自動車メーカーグループの部品メーカーにおいて車載部品の設計に携わっていました。要件定義からテスト、C言語による実装まで、中堅エンジニアとして一通りの工程を網羅的にこなす、いわば「何でも屋」のような存在でした。
担当していたのは1台数千万円もするような高級車向け部品です。仕事自体は充実していましたし、技術者としてその精度を追求することにプライドもありました。しかし、キャリアを重ねるにつれ、自分の中に一つの違和感が芽生え始めたのです。
「私は今、一体誰の、どんな喜びのためにこのコードを書いているのだろうか」
製品が高額であるほどエンドユーザーとの距離は遠くなり、当時はお客さまのお姿を全く想像できませんでした。素晴らしい機能を作っても、それが誰にどう届き、どう生活を変えたのかという実感を持つ機会はありません。黙々と仕様書と向き合う日々の中で、私は「もっと身近な人の役に立っている手応えを感じたい」と強く願うようになりました。
もともと、自宅にスマート家電を導入して生活の不便を改善するのが大好きな性分です。「これが便利になったよ」「ありがとう」という直接的な反響こそが、私のモノづくりの原動力であると気づいた時、ふと目に留まったのがリンナイのガス給湯器でした。
自らリンナイのホームページを訪ね、採用情報を見て直接応募した理由は非常にシンプルです。給湯器という、生活に密接に関わる商材を扱っていること。そして、ガスという身近なエネルギーを扱う企業として、自動車業界に引けを取らない品質へのプライドを感じたこと。身近な製品でありながら、極めて高い安全基準と精密なソフトウェア設計が求められる場所なら、私の培ってきた技術を誰かの笑顔のために活かすことができると確信したのです。
入社から約3年半。かつて思い描いた「手応え」は、望外の形で実現しています。以前、展示会に参加した際、お客さまから直接「このアプリ便利だね、助かっているよ」という言葉をかけていただきました。お客さまにとっては何気ない一言だったかもしれませんが、あの時の震えるような喜びは、今も私の大きな支えになっています。
今、技術の進化は加速度を増しています。将来的にはAIがその人に適した水温を判断したり、生活リズムを先読みして住宅全体のエネルギー供給を最適化したりといった、パーソナライズされた体験が当たり前になるでしょう。これからの給湯器は、お湯を出すだけの道具から住宅全体の頭脳へと進化していくはずです。その未来を自分の手で生み出していくことに、今からワクワクしています。
一方、リンナイでのモノづくりには、特有の「時間の連続性」があります。ガス器具はお客さまが10年以上大切に使われるものです。そのため、新製品を設計する際も、10年前の先輩たちがどのような思想で設計したのかを理解するプロセスが不可欠です。すぐ隣に、10年前の仕様を熟知した先輩がいて、気軽に話を聞きに行ける。この過去を尊重し、未来へと繋いでいく文化こそが、100年続く企業の強みだと実感しています。
100年の歴史を受け継ぎながら、新たな技術で価値を創造する仲間が増えてくれるのは、私にとって大きな喜びです。リンナイが求めているのは、単に尖った技術を持った人ではありません。優れた機能をいかにお客さまの快適な体験に繋げるのかという問いを忘れずに、仲間とコミュニケーションを取りながら理想を追い求められる方です。そんな情熱を持った方なら、リンナイでの仕事はきっと最高に面白いものになるはずです。
「ガス器具メーカーは、古臭い体質なのではないか」というイメージは、入社すればすぐに覆されるでしょう。伝統を守りながら、新しい文化を自らの手で創っていく刺激的な毎日を、ぜひ一緒に楽しみましょう。