特別対談 地球温暖化防止の鍵は「住宅の省エネ化」持続可能な社会に向けたリンナイへの期待

今回は環境特集の特別対談として、住宅における省エネ基準の策定に携わった国立研究開発法人建築研究所理事の澤地孝男様をお迎えし、地球温暖化防止の鍵となる「住宅の省エネ化」をテーマにリンナイの今後の環境への取り組みについて対談を行いました。

温室効果ガス削減目標の達成には省エネ機器の普及拡大が不可欠

中尾:2015年に開かれた第21回気候変動枠組条約(COP21)によりパリ協定が発効され、日本は2030年までに2013年度比で26%の温室効果ガス削減を約束しました。この点について、当社のような住宅設備メーカーとの関係性や、今後の動向についてお聞かせください。

澤地:パリ協定のもとで日本は業務部門では40%削減、家庭部門では39%の削減を2030年度までに行うことを計画しています。家庭部門の新築住宅における省エネ化によるCO2削減は難しいことではないですが、既築住宅での省エネ化も含めると39%削減は高い目標になります。
家庭内での一次エネルギー消費量を減らすことになりますが、住宅の一次エネルギー消費量のおよそ3分の1は給湯によるものです。そのためエネルギー効率が高い省エネ給湯器というのが、非常に効果が大きいのではないかと思われます。

中尾:省エネ給湯器の一つとして、今まで捨てていた排気熱を再利用した給湯熱効率95%の潜熱回収型ガス給湯器エコジョーズがあります。新築はもちろん既築住宅へのエコジョーズの普及を推進していますが、インターネットなどを含めた販売流通の多様化により価格重視になり、非エコジョーズ給湯器に比べ価格が高いエコジョーズの普及は少し遅れている感じがあります。

澤地:そうですか、しかしランニングコストを考慮すると、ユーザーのコストメリットは十分にあり8年ぐらいで元が取れるという数字も出ています。2030年目標の達成には既築住宅の省エネ化が不可欠ですので、お客様には環境配慮商品への理解を促進する情報とともにコストメリットも伝えていただき、エコジョーズを代表とする省エネ機器の普及拡大にぜひ取り組んでいただければと思います。


国立研究開発法人 建築研究所
理事 澤地 孝男様

中尾:そうですね。また地球温暖化はグローバルでの課題であるため、日本のみならずCO2排出量の高い中国やアメリカなどを中心に省エネ給湯器の開発と普及に努めています。
特にアメリカでは貯湯式給湯器が大きな割合を占めていますので、これを瞬間式の給湯器に替えていくことだけでもCO2削減に繋がると考えています。

澤地:アメリカはどれくらいの市場ですか?

中尾:給湯器市場はおよそ900万台/年になり、その95%が貯湯式給湯器の市場となります。

澤地:では潜熱回収型が良いですが通常の瞬間式給湯器でも十分に省エネになりますね。貯湯式給湯器はタンクが必要で場所をとりますが、瞬間式給湯器のコンパクトな点もメリットになります。メンテナンスの体制などを整えていくなど大変なことは多いと思いますが、是非、省エネ給湯器の普及への貢献を期待しています。

【ガス給湯器のエネルギー効率UEF比較】

貯湯式ガス給湯器(50ガロン)
※イメージ写真

UEF 0.60

瞬間式ガス給湯器(潜熱回収型)

UEF 0.92

※UEF…Uniform Energy Factor。2017年6月にアメリカ合衆国エネルギー省(DOE)にて定められた給湯器のエネルギー効率の評価基準。UEF値が高いほど高効率。

省エネ住宅の普及には「信頼性のある省エネ性能評価」が重要

中尾:現在、新築住宅の代表としてゼロエネルギーハウス(以下、ZEH)が浸透してきています。ZEHを含めたこれからの省エネ住宅の課題と取り組みについてお聞かせください。

澤地:既築住宅の省エネ改修がなかなか進まない中では、新築の省エネ性能を高めていく必要があり、電力の低炭素化のための太陽光発電の普及も必要であるため、既存の省エネ基準よりもより高いZEHが求められています。給湯エネルギー消費量が多い日本でのZEH普及には高効率給湯器が効果を発揮していくと思います。

中尾:当社では2010年からヒートポンプとエコジョーズを合わせたハイブリッド給湯・暖房システムECO ONEの販売を開始し、トップクラスの給湯省エネ性能により、ZEHを含めた国の省エネ住宅の促進において注目いただいており、高い省エネ性能と快適な温水暖房を通してZEH普及に貢献していきたいと考えています。一方ハイブリッド運転による暖房の省エネ性能は、設置される各住宅環境に影響されるため、評価手法に課題があり、学識経験者の方と評価手法の確立に取り組んでいます。


リンナイ株式会社 営業本部
営業企画部 部長 中尾 公厚

澤地:今後の省エネ住宅の普及には適切な省エネ評価ができているかが大事になります。一次エネルギー消費量の評価で一番重要な部分は機器の実働効率であり、実働効率により省エネ性能を評価してゆくこと、場合によっては第三者機関による評価試験を実施するなど、信頼性のある省エネ性能評価を確立していくことが重要になっていきます。
さらに、機器の開発だけではなく、その機器を適切に選択して設置するという設計行為がきちんとしていなくてはいけません。温水式床暖房の場合、熱源以外に温水パネルの仕様や設置面積、配管の断熱性など、設置・施工も非常に重要で、例えば暖房能力が高い熱源で定格効率が良くても、設置環境によっては実働効率は落ちてしまいます。住宅の省エネ化のためには設置される設備の環境、条件を考慮した設計行為が非常に重要です。

中尾:設置環境を含めた実働効率による評価基準、第三者機関などによる信頼性のある評価が大切ということですね。

澤地:新しい評価方法の開発を通して得られる知見は、省エネ性能の高い商品開発に反映することができます。大変だとは思いますが、ハイブリッド運転による暖房の性能評価方法の確立は、是非、リンナイさんに頑張っていただき、より省エネ性の高い商品の継続的な開発に期待しています。